Move

音楽界の共演の歴史

1960、1970年代のロック時代は、バンドが中心

デュエット自体は古くからある手法だ。しかし、1960、1970年代のロック成長期には、バンド活動が盛んだった。アルバム全体を通してテーマや世界観を打ち出す表現が主流だった。このため、大物共演はさほど頻繁に行われなかった。

1980年代は、ポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソンなど

目立つようになったのは1970年代以降だった。ポール・マッカートニーとスティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンとマッカートニー、ミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイなどの顔合わせが実現した。



ヒップホップ時代

1990年代、ヒップホップが隆盛になると、デュエットだけではなく、ラップの応酬や、歌とラップの掛け合いなど表現の幅が広がった。1995年にマライア・キャリーとボーイズIIメンが組んだ「ワン・スウィート・デイ」は、16週連続全米1位になった。

さらに、マイケルとジャネットのジャクソン兄妹、マライアとホイットニー・ヒューストンの共演も印象に残る。



21世紀の一大ブームで成功例が相次ぐ

そして、21世紀に大物共演の一大ブームが到来した。長引く米国の音楽市場低迷の打開策として、ヒットに結びつきやすい大物共演が積極的に仕掛けられるようになった。

また、最近の共演にはギブ・アンド・テーク的な側面も見逃せない。例えば、ビヨンセはジェイ・Zの2002年のアルバムに収められた「’03 ボニー&クライド」に参加した。「クレイジー・イン・ラヴ」は、さしずめそのお返しだった。

また「ベイビー・ボーイ」は、ビヨンセ、ショーン・ポール両者のアルバムに収められた。

ショーン・ポールとの「ベイビー・ボーイ」も大ヒット

ビヨンセは「クレイジー・イン・ラヴ」に続いて、同じく2003年、レゲエ畑のショーン・ポール共演した「ベイビー・ボーイ」も大ヒットさせた。全米9週連続1位を達成した。



ネリー、ディディら

また、ネリー、P・ディディ、マーフィー・リーのラッパー3人が結集した「シェイク・ヤ・テールフェザー(Shake Ya Tailfeather)」もメガヒットになった。映画「バッドボーイズ 2 バッド(Bad Boys II)」のサントラとして使われた。4週連続1位だった。


50セント

50セントは、ネイト・ドッグの参加を得た「21クエションズ」が全米1位に輝いた。さらに、リル・キムの「マジック・スティック」に客演し、こちらもヒットさせた。


ブリトニー・スピアーズとマドンナ

ブリトニー・スピアーズとマドンナという新旧歌姫がデュエットした「ミー・アゲインスト・ザ・ミュージック」も話題になった。スピアーズは「他人から何を言われようが、信念を貫き、冒険的な活動を続けるマドンナにはあこがれていた。実現した時は本当にうれしかった」と語った。


このほかにも、様々なコラボが実現した。

  • ・スティングとメアリー・J・ブライジ
  • ・キッド・ロックとシェリル・クロウ
  • ・ジェニファー・ロペスとL・L・クールJ
  • ・バスタ・ライムスとマライア・キャリー

おすすめのコラボ曲

歌手と曲名説明
アウトキャスト&スリーピー・ブラウン

「ザ・ウェイ・ユー・ムーヴ(The Way You Move)」

動画→
グラミー賞に輝いた「スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ」に収録。全米1位となった。ファンク風の曲調で、早口ラップと、けだるいボーカルの対比が絶妙だ。(BMGファンハウス)
ノラ・ジョーンズ&ドリー・パートン

「クリーピン・イン(Creepin' In)」

動画→
2003年のグラミー5冠王が新作「フィールズ・ライク・ホーム」で、カントリーの大御所とデュエットした。陰影に富んだ作風のアルバム中、浮き立つような楽しさに彩られた異色の1曲。(東芝EMI)
サイプレス・ヒル&ティム

「ホワッツ・ユア・ナンバー?(What's Your Number?)」

動画→
新進ヒップホップ・グループに、ランシドのボーカルが加わった意外な共演。レゲエ風の開放的な曲調も、意表を突いている。2004年3月31日に出る予定の「ティル・デス・ドゥ・アス・パート」に収録。(ソニー)
マドンナ&ミッシー・エリオット

「イントゥ・ザ・ハリウッド・グルーヴ(Into The Hollywood Groove)」

動画→
マドンナの過去のヒット曲を合成した作品で、2人が出演したCM用に制作された。エリオットの歯切れのいいラップが隠し味的に効いている。同名「イントゥ・ザ・ハリウッド・グルーヴ」のミニ・アルバムに収録。(ワーナー)
ネリー・ファータド&カエターノ・ヴェローゾ

「アイランド・オブ・ワンダー(Island Of Wonder)」

動画→
ファータドの新作「フォークロア」に収録のデュエット曲。繊細で清涼なファータドと、絹のような光沢を持つヴェローゾの歌声が、神秘的な旋律の中で溶け合う。(ユニバーサル)